可搬式オービス(移動式オービス)が「速度取締中」の警告看板を出しているのは「スピードの抑制」と「おとり捜査の回避」の意味があるが、表示しなくても違法ではない。

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可搬式オービス(移動式オービス)が「速度取締中」の警告看板を出しているのは「スピードの抑制」と「おとり捜査の回避」の意味があるが、表示しなくても違法ではない。

近頃、とても増えてきた「移動式オービス」による速度取締、予想もできない場所で取り締まりが行われてるので注意をしなければなりません。

自治体によっては「固定式オービス」が少なくなり、「移動式オービス」が増えているところがあります。そして、「固定式オービス」には必ず存在した「警告看板(予告看板)」が「移動式オービス」には存在しない場合があります。

今回は、移動式オービスの「警告看板」について、法律や判例から確認してみたいと思います。

もちろん、速度を落として「安全運転」するのが一番ですが。

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自己紹介

私がこの記事を書いています。

北海道の田舎に住む、一般的なサラリーマンのおじさんです。

趣味で法律を勉強しています。行政情報なども勉強中。

資格はありませんが、法律や規則に関しての知識を理解している自信はあります!

移動式オービスが、どのような場所で取り締まりを行うか知りたいときはコチラの記事が良いです。

速度取締はスピード違反の抑制のため

速度取締は、国民の安全のために行われていることが基本です。

車両がスピードを出し過ぎて、事故を起こし、運転者や歩行者などに損害が発生しないようにすることが目的です。

警察が国民を捕まえることを目的として、速度取締を行っていては、本末転倒です。場合によっては違法な公権力の行使に当たることも考えられます。

「速度取締中」の警告表示を行うことで、「検挙が目的のためではない」と、している

昭和55年の判例で次のような判決が出ています。(抜粋)

「囮捜査類似のものであるとの非難を回避するためにも、走行中の運転者から一目瞭然たるものにすることが捜査機関に果せられた責務であると言わざるを得ない。」

わかりやすく言うと、「おとり捜査と言われないためにも、警告看板をつけるのは当たり前だよね!」って裁判官が言ったのです。

国民に、わざとにスピードを出させて、たくさん検挙しようとすることが、「違法なおとり捜査」になってしまう恐れがあるのです。

なので、裁判所も改めて「速度取締中」の警告看板は必要だと言っているのです。

警告看板を表示せずに、速度取締を行っても違法ではない!

裁判所は、警告表示をすることは「責務である」と言っているだけで、警告看板を表示しないことが、違法だとは言っていません!

つまり、警告看板を掲げないで、速度取締を行っても、すぐに違法となることはありません。

もしも、警告看板がない速度取締で検挙されても、看板がないことだけを理由に、「違法検挙」だと裁判を起こしても、よっぽどの理由がないと負けてしまうことが予想されます。

速度取締の警告看板は道路標識ではないので、法的な設置義務もない

法律的な規則からしても、速度取締の警告看板は設置義務はありません。

警告看板を設置しているのは、スピードの出し過ぎを抑制するためだと思われます。

先ほども申し上げましたが、速度取締の警告版がなく検挙されても、文句は言えません。

警告看板がない場合に違法検挙になることは無いのか?

判例からすると、

取締り場所の手前で警察官が指導予告しないだけでは囮捜査であるということはできない」とされています。

さらに、判例では

「速度違反の取締りは白バイ、パトカー等により常時行われていることは公知のことであって、運転者に予測し得ないことではなく…取締りについては、すでに新聞紙上等に広報されており…(囮捜査であるという主張は)到底採用することはできない。」

としています。

つまり、「日々、パトカーなどで取り締まりを行っていること」、「新聞など(現代ではインターネットなど)で速度取締を周知していること」が、おとり捜査ではないことを証明しているとしてます。

「国民にワザとにスピードを出させて、検挙しているわけではありませんよ!」と警察が言っているのです。

違法検挙になるかもしれないパターンを考察

これまでの考え方から導き出すと、警察が「スピード違反をさせない努力が、客観的に見ることができないとき」に違法になる可能性があるかもしれません。

例えば

  • 道路標識がほとんどない場所で、速度取締が行われているとき。
  • インターネットなどで、取り締まり方法を示していないとき。

これらの条件が合わさった時であれば、違法検挙として認められるかもしれません。

近年の取締パターン

可搬式および半可搬式取締装置の場合には、事前の警告看板の設置は行わない[24]。これは、路肩等に装置を設置する定置式の取り締まりでは、一見して取締りを行っていると分かるとして、事前告知は不要という認識が警察内にあるためであり[35]、更に装置の導入の際にウェブサイトや報道で周知しているため、予告看板は必要ないためである[36]。ただし、事前告知をやってはいけないわけでもなく、警察庁によれば、都道府県警察によっては取り締まりの際に、独自に警告看板を設置しているところもある[37]

例えば、愛知県警察は可搬式取締装置での取締りにおいて予告看板を設置せず行なっており、その旨をウェブページで公開している[38]。可搬式取締装置の運用開始1か月以後は、予告看板を設置せず取締りを行うことについて、愛知県警察と名古屋地方検察庁で協議し、検察庁から承諾を得ている[39]

予告看板を設置せずに取り締まりを行っている愛知県警でも、取り締まり後に実勢速度低下の効果が認められており、警察の認識通り、必ずしも予告看板を設置する必要があるわけではないことが実証されている[40]

なお、可搬式オービスは2020年度末時点で新潟県を除く46都道府県に計99台配備されている。最も多いのは東京都で7台。その東京都でも2020年中の取締り件数は、前年の配備数[5]で考えても1台1日あたりわずか0.5件にしかならず[41]、実際には2020年中に追加配備されていることから更に少ないことになり、取締りには全く役に立たなかったが、国は2021年6月に発生した八街児童5人死傷事故を受け、可搬式オービスによる経常的な取り締まりを実施することで、ドライバーへの速度違反の注意を促していく事を事故対策の一つに掲げており、今後も配備が進む可能性もあ

  • 予告掲示板を設置しないことを周知した自治体がある。
  • 可搬式オービスが増加する傾向にある

まとめ

  • 警告看板がない速度取締は違法ではない
  • スピード違反を抑制しようとする意志が見られない速度取締と、客観的に認められるような場合には、違法な「おとり捜査」と主張できるかもしれない
  • 予告看板を設置しない自治体が出てきている
  • 可搬式オービスはとても増えてきている。

スピードを落として安全運転することが一番大事です。

昭和55年1月14日判例(参考)

■オービス3(速度違反自動取締装置)による速度違反の取締が、憲法31条等に違反するものではないとされた事例。

道路交通法違反被告事件、東京簡易裁判所昭和55年1月14日判決。東京簡裁昭五二(ろ)四九九号(有罪、確定)

抜粋

取締り場所の手前で警察官が指導予告しないだけでは囮捜査であるということはできないものと解する。つぎに囮捜査類似のものであるか否かにつき検討する。そもそも速度違反は指定された制限速度を超えた速度で走行していることの認識を要する故意犯であると解されており、制限速度は標識または標示で示されるのであるから、標識または標示が無いかまたは見えにくい場所を選んでの取締りであれば格別、そうでない限り囮捜査類似のものでもないものと解される。しかも、速度違反の取締りは白バイ、パトカー等により常時行われていることは公知のことであって、運転者に予測し得ないことではなく、本件オービス3による取締りについては、すでに新聞紙上等に広報されており、その上、本件道路には事件発生当時「無人速度取締機設置路線」である旨の立看板が設置されていて、事前に運転者に予告され警告を与えているのであるから、オービス3による速度違反の検挙が無警告の抜き打ち検挙であって囮捜査に類似するから憲法一三条、同三一条に違反するという弁護人の主張はその立論が極めて薄弱なものというべく到底採用することはできない。

ちなみに、本件オービス3の前方三〇〇米の地点に設置されている警告板について検討すると、警告板(「自動速度取締機設置路線」と表示)は、運転者に対して制限速度を遵守せよという交通指導の意味と自動速度取締機で取締りを実施中である旨の運転者への予告の意味とを有するものと考えられるが、右警告板は政令に定めるところにより都道府県公安委員会が設置する道路標識等と異なり、捜査機関の運転者に対する警告にとどまるものであるから、本件オービス3を使用して速度違反車両を捕捉するためには必ずしも必要不可欠なものではなく、運転者から警告板の文字等が視認できるか否かは制限速度違反罪の成否を左右するものではないことが明らかである。しかしながらオービス3による速度違反取締りが主として自動車運転者の速度違反の抑止効果を最大の目的とするものであるとせられている以上、弁護人ら主張のいわゆる囮捜査類似のものであるとの非難を回避するためにも、走行中の運転者から一目瞭然たるものにすることが捜査機関に果せられた責務であると言わざるを得ない。

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