「先生を流産させる会」とは何か?「子どものリアリティー」と内藤瑛亮監督――映画と実際の事件
元教員でもある映画監督・内藤瑛亮氏は、いじめや少年犯罪を題材に作品を発表し続けてきた。その原点となったのが、2012年に公開された映画**『先生を流産させる会』**である。この衝撃的なタイトルは、実際に起きた事件に基づいている。
引用元(全文はこちら→)Yahoo!ニュースエキスパート記事
映画『先生を流産させる会』
- 公開年:2012年
- 監督:内藤瑛亮
- 内容:中学生の女子グループが妊娠中の担任教師を流産させることを目的に行動する様子を描いた社会派作品
- 特徴:実際の事件をモチーフにしつつ、加害者を女子に置き換えて描写。この点が「女性蔑視」「男性の加害を女性に転嫁している」として批判を呼んだ
監督は批判を受け止め、以後ジェンダーやミソジニーの問題を学び直し、後の作品にも意識を反映させている。
実際の事件
「先生を流産させる会」という言葉は、2000年代に報道された中学校での集団いじめ事件から生まれた。
発生時期と場所
- 時期:2000年代初頭(2001年頃とされる)
- 場所:愛知県半田市内の中学校
事件の経緯
- 妊娠中の女性教師に対して、一部の男子生徒が「先生を流産させる会」と称する16名のグループを結成。
- グループ内では「どうやって流産させるか」を冗談半分で話し合い、実際に授業中や学校生活で教師に負担を与える行動をとった。
具体的な行為
- 教室で大声を出したり騒ぎ立てる
- 椅子や机を蹴るなど、物理的な刺激を与える
- 授業妨害を繰り返し、精神的に追い詰める
- 「流産させろ」といった暴言を教師に向けて発する
被害の結果
- 妊娠中だった女性教師は体調を崩し、精神的にも強いストレスを受けて休職に追い込まれた。
- 妊娠の継続や流産との直接的な因果関係は明確には示されなかったものの、「子どもによる集団加害の深刻さ」として社会に強い衝撃を与えた。
学校・社会の反応
- 学校側の対応が後手に回り、「事なかれ主義」との批判が殺到。
- 教育委員会や自治体が調査に乗り出し、加害生徒への指導が行われた。
- 当時の報道は「いじめ」という言葉では済まされない残酷さとして広まり、全国的な議論を巻き起こした。
当時の実際の記事はあるのか?
2ちゃんねるの記事が少し残っています。
【愛知】中学生が妊娠教諭に嫌がらせ 生徒16人が「先生を流産させる会」を結成し、給食に異物混ぜるなどのイタズラ★7
その後の作品とのつながり
内藤監督はこの映画以降も、いじめや少年犯罪を描き続けている。
- 『ミスミソウ』(2018年):いじめと復讐
- 『許された子どもたち』(2020年):加害者となった少年と少年審判の問題
つまり『先生を流産させる会』は、「子どもと社会の暗部」を映し出す監督の姿勢を鮮明にした出発点となった。
まとめ
映画の意義
→ 賛否両論を呼びつつ、以後の作品群へつながる監督の問題意識を形づくった。
「先生を流産させる会」とは?
→ 実際の中学校いじめ事件に由来し、2012年に映画化された社会派作品。