駐車場で当て逃げされた!パーキングの経営者に損害賠償を請求できるのか?「事故・盗難の責任は負いかねます」の看板の効果は?
X(ツイッター)などで「拡散希望!当て逃げさてました!」などの、ポストがたまに見かけられます。
用事を済ませて、駐車場に車に戻ったら、車体に大きな傷跡がついていたりしたらショックですよね。
もちろん犯人を見つけ出して、直してもらうのが一番です。
でも、逃げられてしまったら、なかなか見つからないことも多くあるようです。
そして、駐車場の看板には「事故・盗難の責任は一切負いません」の文字・・・
どうしたらよいのでしょう?
駐車場で当て逃げされたら、駐車場の経営者の管理責任を問うことはできないのか?
まずは、当て逃げされたときに、駐車場側の責任を考えてみたいと思います。
この記事を書いている人
私がこの記事を書いています。
北海道の田舎に住む、一般的なサラリーマンのおじさんです。
趣味で法律を勉強しています。行政情報なども勉強中。
資格はありませんが、法律や規則に関しての知識を理解している自信はあります!
駐車場の経営者の責任
駐車場を「借りる人」と駐車場を「貸す人」の関係は、「賃貸借」または「有償寄託」の契約になると思います。
賃貸借=駐車スペースを貸す契約
有償寄託=車を預かり保管する契約
「有償寄託」の方が車に対する責任がありそうですよね。
賃貸借契約の場合
ほとんどの駐車場の契約は「賃貸借契約」になるはずです。
つまり、単に駐車スペースを貸しているだけなので、「貸している方」は、そこで起った事故などの責任を負うことはありません。
通常の使用範囲の賃貸借契約で、当て逃げをされた場合は、管理者の責任を追及することは難しいでしょうね。
つまり、普通の駐車場で、当て逃げされたときは、駐車場の経営者に責任をとってもらえる可能性は、ほとんどないと思われます。
有償寄託契約の場合
車両自体を預ける場合は「有償寄託」(有償なので駐車料金を払っているとき)になる可能性があります。
たとえば、ホテルに宿泊する際に車のキーを預けたとか、駐車場に監理員がいて、監理員の指図によって駐車している場合は、車両を預けているということが発生して「有償寄託」の契約になる場合があります。
有償寄託契約の場合は、駐車場経営者に損害を賠償してもらえる可能性がある
有償寄託契約の場合は、車を預かった方が「善管注意義務」が発生するため、駐車場側に落ち度があれば、損害賠償を請求することができます。
善管注意義務とは
できる限り大事に扱わなければいけないってことです。
具体的にどのような駐車場ならば、駐車場側に損害賠償を請求できるか?
スーパーの無料駐車場は、賃貸借契約であり、なおかつ「無料」の時点で有償寄託契約にならないので、損害賠償の請求は無理です。
デパートの有料駐車場は、ほとんどが賃貸借契約なので、損害賠償の請求は無理です。
コインパーキングも無理です。
高級ホテルでエンジンキーと車を預けるタイプの駐車場は、有償寄託契約にある可能性が高いので、車を預けているときに発生した事故や盗難についての損害について、賠償してもらえます。(免責される可能性もあります。)
エンジンキーを預けるタイプ一般駐車場は、「どれくらい管理されているか」によって変わってきます。誘導員の指図に沿って止めたり、自由に出入りできない構造だったりを考慮して、有償寄託契約か賃貸借契約かを判断できると思います。場合によっては請求したほうが良いかもしれません。
ほとんどの駐車場では、駐車場側に責任をとってもらうことは無理そうですね。
「事故・盗難の責任は一切負いません」の看板の意味は何なのか?
これまででわかるように、駐車場に対しての損害賠償請求は、ほとんどの場合できません。
なのに、どの駐車場にも「駐車場内で発生した事故・盗難等には責任を負いません」と看板に書いています。これらの看板の意味は以下のように思われます。
○事故を起こさないように、又は盗難にあわないようにする「注意喚起」
○万が一、事故が発生した時にスムーズに対応するため
だと思われます。
事故が起こっても、責任を負わないことをあらかじめ表示することによって、自分自身で事故処理をするように促していると思われます。
その他の可能性 土地工作物責任(不法行為)による損害賠償請求
第717条
- 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
もしも、駐車場の構造に悪い点があり、それが原因で事故が発生したのであれば、不法行為による損害として賠償を求めることができます。
でも、こちら側で損害の発生が駐車場側の責任であることを証明しなければいけません。
裁判とか、弁護士とかの話になりそうですね
まとめ
駐車場で当て逃げされたときに、駐車場に責任を取ってもらうことは、まず無理です。
「事故の責任は負いません」の看板も、駐車場経営側がもとから責任を負う必要が無いことをわかっていて表示しています。
駐車場経営側に対応を求めるより
全力で犯人を捜した方が良いと思います
当て逃げから、自分を守るために
私は、駐車場に駐車するたびに、自分の車の周囲の状況をスマホで撮影しています。
隣の車のナンバーや車種、色などがわかる程度に写真に収めています。
そうすることによって、当て逃げされても、警察に説明しやすくなると思います。
ドライブレコーダーも有効ですね。
ドライブレコーダーを購入する際は、駐車監視機能付きを購入したほうが良いです。